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2025-10-20

MPOとは何か──企業の“第二の成長戦略室”として

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2030年、日本の上場制度は新しいフェーズに入ります。
東京証券取引所は、プライム市場などの各区分で「上場維持基準」の厳格化を進めており、今後はグロース市場でも時価総額100億円前後を安定的に確保できる企業体力が求められるようになります。


言い換えれば、いったん上場しても、5年後にその水準を満たせなければ市場残留が難しくなる時代です。

オーガニックな成長だけでこの壁を越えられる企業はごくわずかです。
多くの企業が年10〜20%の成長で足踏みし、次の一手を模索しています。

一方で、M&Aや業務提携を通じた非連続の成長を描こうにも、社内に専任人材やノウハウがない。

外部から採用すれば高コスト、外れれば大きなリスク。

この現実の中で、私たちは「MPO(M&A Process Outsourcing)」という新しい仕組みを生み出しました。

――企業が“第二の成長戦略室”を外に持つための、実践的な伴走モデルです。


企業の“第二の成長戦略室”として

MPOは、単なるM&A仲介事業ではありません。
クライアント企業のための「成長戦略室」を外部に持つような仕組みです。

戦略を描くだけでなく、案件を発掘し、提携を進め、実行に伴走する。
言い換えれば、「戦略を絵に描くことと、現場で動かすことを切り離さない」モデルです。

M&Aを単なる“買う・売る”の取引ではなく、「成長のプロセス」として設計する。
その入口から出口までを、企業と一緒に走り切るのがMPOの本質です。


三つのアプローチで支える

私たちは、企業の規模や業界を問わず、このMPOの考え方を三つの柱で進めています。

事業創出プログラム

まず、企業の中に新しい事業の芽を育てる。
企業価値を高める経営改善や、事業構造の整理を進めながら、成長の筋道を描いていきます。

M&Aはその延長線上にある“選択肢”の一つにすぎません。
「育ててからつなぐ」──それが私たちの流儀です。

顧問100戦略

経験の浅い営業100人が決して届かない場所でも、リッチなキャリアをもった1人のベテランの信頼を手繰れば、辿り着ける。

業界の第一線で活躍してきた顧問や一流の専門家の知見と人脈を結集し、経営者と経営者、企業と企業をつなぎます。人の経験と縁を「知の資産」「信用の資産」として可視化して活かすことが、MPOの大きな強みです。

金融機関連携モデル

地銀や信金と連携し、地域の中堅・中小企業の再成長を支援しています。
仲介会社が扱わない小規模案件にも踏み込み、資本と人材の再配置を支える。

地域経済の循環をつくることが、日本全体の底上げにつながります。すでに富山をはじめ、いくつかの地方で、このモデルを進めて成功しています。


営業とコンサルを分けない

MPOでは、「営業」と「コンサル」という言葉の境界が意味を持ちません。営業とは、本来“売る”ことではなく、“課題を共に解く”ことです。経営者と同じ目線で課題を見つけ、戦略を描き、実行まで寄り添う。

そのために必要なのは、小手先のスキルではなく、経営課題を察知し、解読するリテラシー自分事として取り組む誠実さと現場力です。

私自身、これまで数多くの企業の現場で学びましたが、本気で相手の成長を願う姿勢ほど、信頼を生むものはありません。この「信頼の積み重ね」こそが、MPOの現場を動かす力です。


「人が経済を動かす」

AIや自動化が日々進む今、人と人が向き合い、信頼を築き、未来を構想する力こそが価値になります。MPOの現場で私たちが見ているのは、数値ではなく「関係値」です。どれだけ人と真剣に向き合えるかが、最終的に企業の成長を決めていきます。

データやリストでは届かない領域を、人が訪れ、話し、信頼を重ねて開く。
この積み重ねが、経済を動かします。

経済とは、結局「人のネットワークと信頼の総量」なのだと感じています。


地方と都市をつなぐ

地方企業の中には、いまだに「M&A=身売り」というイメージを持つ方も多くいらっしゃいます。

しかし、本来のM&Aは、企業を終わらせる手段ではなく、次に進めるための方法です。適切なパートナーと組むことで、雇用を守り、技術を継承し、地域を元気にできる。

その一歩を踏み出すきっかけをつくるのも、MPOの重要な役割です。


コンサルティングの民主化へ

MPOは、Arinosの掲げる「コンサルティングを民主化する」という理念を、最も具体的に体現した仕組みです。

専門家だけが戦略を描く時代ではありません。中小企業も、スタートアップも、外部の知恵を活用しながら自ら未来を設計できる社会をつくりたい。それが、私たちの目指す「Consulting for Everyone」です。


結び──人と企業を“つなぎ、育てる力”

MPOは、企業の成長戦略室を代行するだけではありません。
人と人が出会い、学び合い、共に成長する「未来共創の場」です。

企業の成長を支えるのは、資本でも戦略でもなく、最後は「人」です。
私たちは、今日もMPOという現場から、“人が経済を動かす”という真実を証明していきます。